野菜ソムリエプロ當間好乃の「小さい秋見つけた〜茜色の月桃の実〜」

沖縄の代表的なハーブ、月桃。沖縄では花が咲くまでに三年かかることから「サンニン」または「サニン」と呼ばれます。
4月から7月にかけて開花する月桃はその名の通り、何とも美しく、見る人を魅了し優しい気持ちにさせてくれます。
その花言葉は「爽やかな愛」だそう。

亜熱帯の沖縄では紅葉する植物があまりない中、9月の中旬から今の時期まで至る所で茜色に色づいた月桃の実を見つけることができます。
それを見るたびに私は何だか嬉しい気分になります。
沖縄のささやかな小さい秋です。

庭に自生していたサンニンの実が色づいたので、今日はパパイヤの花と実家にあるカラキ(沖縄ニッケイ)の葉をお茶にして一息。
因みにサンニンの実には健胃整腸作用があると言われ、漢方薬にも用いられています。(※飲み過ぎや妊婦さんには注意が必要です。)
しばらくパタパタとしていた心と身体を優しく癒してくれました。

サンニンはショウガ科の常緑性多年草で、強い殺菌効果や防虫効果があるため、病害虫にも強く、虫食いもほとんどありません。
高温多湿の沖縄では生活の至る所で古くから利用され、親しまれてきた、なくてはならない植物です。

例えば、「ムーチー」と呼ばれる伝統的な沖縄のお餅ですが、その芳香と殺菌効果を利用し月桃の葉に包んで蒸しあげます。
なんと那覇の三大饅頭と言われる「儀保饅頭(通称:のー饅頭)」、「山城饅頭」、「天妃前饅頭(テンピヌメー饅頭)」の全てがサンニンの葉を使って蒸しあげられます。

畑では畔に植えて蚊除け、虫除けにしたりもしますが、生育旺盛で株による土止めの効果も大きいことから、赤土流出防止植物としても利用されています。
またその繊維を加工して月桃紙として使われたり、近年ではその効能を活かし、防虫剤やアロマオイル、化粧水などにも多く加工され商品化されています。

植物の偉大な力と優しさに感謝ですね。

カテゴリー

PAGE TOP