野菜ソムリエ上級プロ堀基子の「沖縄産の食用菊は今が旬」

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代表の野菜ソムリエ上級プロ堀基子です。
メンバーが3日おきにフレッシュな情報をお届けする、このメンバーブログを通じて、一人一人の得意分野や個性を知っていただけたらと存じます。

お料理やスイーツを華やかに彩ってくれる食べられる花、エディブルフラワー」。
近年すっかり身近な存在になってきましたが、その元祖といえば食用菊ではないでしょうか。

食用菊の歴史は古く、中国でその栽培が始まったのは紀元前500年頃とされ、延命長寿を願って愛用されていたそうです。
日本へは奈良時代に伝わったといわれ、平安中期の「延喜式」の「典薬寮」に「黄菊花」の名が記されており、江戸時代の1695年に刊行された食材についての本草書「本朝食鑑」には「甘菊」の名で食用の菊が紹介されています。

今回私が出会ったのは、ちょうど旬を迎えている沖縄産の食用菊。
艶やかな赤紫色が美しく、山形県では「もってのほか」、山形県庄内地方では「延命楽」、新潟県では「かきのもと」、新潟県長岡地方では「おもいのほか」などの名で呼ばれている食用菊と同じ袋菊だと思います。

パッケージを開くと6輪の菊が並んでおり、それぞれ3輪が重ねてありましたので、計18輪が入っていました。
水につけて洗い、ガクを持って振って水気を切り、花全体を片手で包み込むように持ち、ガクをつまんでひねって外し、花びらをほぐして・・・・・・さて何を作りましょうか。

まずは生の花びらをそのままサラダに。
ふんわりと柔らかな食感は極小のベビーリーフに近く、ほのかな香りは春菊にも似ていますが、よりフローラルで、けれど強く主張し過ぎず、春菊が苦手な方でも食べやすいと思います。
美しい色合いの花びらを贅沢にこんもりと盛っただけで、それは華やかなサラダになりました。

続いては酢を加えた熱湯でさっとゆで、きゅうりと合わせて酢の物に。
「本朝食鑑」よりも早い1690年の秋、かの松尾芭蕉が「蝶も来て酢を吸ふ菊の膾哉(なますかな)」という句を詠んでいますが、さっと加熱した菊の花びらはシャキシャキとした歯ごたえで、その上品で柔らかな香りは、甘酢と相性がよく、思わず箸が進みます。

さて、実はその後、幸運なことに、縁あって食用菊の生産者さんをご紹介いただき、圃場を見学させていただけることになりました。
という訳で、次回は沖縄の食用菊の生産現場の様子をお伝えしたいと思います。

最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。
次回もまたどうぞお楽しみに!

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