野菜ソムリエプロ野原長乃の「ローゼルの活用術」

10月も終わりに近づくと毎年ローゼルの手仕事の季節が始まります。
アオイ科フヨウ属のローゼルは17世紀に西インド諸島や中南米で栽培されるようになり、世界各国の熱帯地方に広がり、日本ではロゼリソウと呼ばれていました。
沖縄には明治時代にシンガポールから伝わったとされています。
原産地においては多年草ですが、沖縄では越年しないので一年草あつかいです。

自然からの恵みを大切にされている方から頂いたローゼルの種。
少しですが収穫できました。
ローゼルは栽培することでCO2を削減するため地球温暖化に役立ち、地下水や土地を浄化する能力があるとされ、地球にとても優しい植物です。
ローゼルの赤色の成分はアントシアニン系色素で抗酸化物質ポリフェノールの一種で活性酸素の生成を抑制し、血液を綺麗にする効果や喉の炎症を抑える効果があるとされ、風邪をひいた時や喉を使いすぎた時に飲むと効果的です。
カリウムを多量に含み、利尿作用もあるので、お酒を飲み過ぎた翌朝に飲むと二日酔いやむくみの改善に期待できます。便秘や肌荒れ、疲れ目、美白などさびない体作りに効果が期待できます。
また天然酵母がたっぷりなので発酵を生かしたレシピもいろいろ楽しめます。
ローゼルの色の美しさに魅せられて加工品などが販売されるようになっていますが、最近では市場などで購入しやすくなっていますので、作ってみてはいかがでしょうか。

今回は少ないのでジャムと甘酢にしましたが、たくさんできた時や種を取るときにきれいな形にならなかったものは乾燥させてお茶にします。
葉や種も食べられます。葉は酸味ととろみがあり、刻んで煮物の加えたり、スープやカレーに利用します。
種は香ばしく炒って粉末状にしたものをお菓子の生地に混ぜるほか、仕上げのトッピングに使ったりします。
茎からは繊維が取れるので糸にして織物が作れます。
八重山地方の与那国島では昭和の初め頃に泡盛に氷砂糖と種付きの萼を入れて漬けたものをお正月の赤いお屠蘇として振る舞っていたと年配の方からお聞きしたことがあります。
ローゼルは葉や茎、実、種すべてにおいて活用でき、捨てるところのないECOな植物として栽培されています。ぜひ活用してみてくださいね。

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