明日から沖縄ではシチグヮチ(盆:旧暦7月13日〜15日)を迎えます。
十三日のウンケー(お迎え)で年に一度、祖先の霊を家に招き入れ、十五日にウークイ(お送り)するまで、盛大な祖霊祭りでご先祖をもてなします。
「ウンケーヤ へーベートゥ(お迎えは早々と)」と代々と教えられている通り、この日は早朝から各ご家庭、仏壇へのウサギムン(お供物)の準備に取り掛かります。
夕方にはトゥブシ(迎え火)と言って、日が落ちる前に門口の両脇にローソクで火を灯し、家族は集い、静かに手を合わせて、ご先祖を家へ迎え入れます。
このトゥブシを目印にしてウヤファーフジ(ご先祖様)がいらっしゃるのだそう。
その時には辺りはシチグヮチ特有の厳かな空気が漂い、吹く風にも何か気配を感じるような、そんな感覚にさせられます。
私のウンケーの思い出の中には、いつも中心に父がいましたが、時は移ろい、今では年に一度、この日に亡き父を迎えます。
さて、明日はウンケー。
各ご家庭、夕食の御供物としてウンケージューシー(沖縄風炊き込みご飯)やウサチ(きゅうりや大根などのお酢のもの)、ソーローメーシ(メドハギで作ったお箸)などを準備します。
我が家のウンケージューシーには、この時にしか入れないあるものを炊き上がりに必ず入れます。それは「生姜の葉っぱ」です。
シチグヮチ近くになると、葉生姜(葉付き生姜)やメドハギなどいつもは見られないものが店頭に並びます。
生姜の葉は繊維質でパサパサしていますが、生姜の高貴な香りがします。それを一つ一つ手で細かく裂き、包丁でさらに細かく刻んで、炊き上がったジューシーに入れて仕上げます。
母が伝え聞くところでは、これは魔除けの意味があるそう。
そのため我が家では生姜もフルーツなどと一緒に盛り合わせて仏壇にお供えします。
実際、生姜の持つ殺菌作用を考えると夏場の、特に傷みやすいジューシーに入れるのは理にもかなっていますね。
写真はソーロー草(メドハギ)でこしらえたソーローメーシ(精霊箸)とソーローホーチ(精霊ほうき)。
ソーローメーシはご先祖様が食事に使うお箸。ソーローホーチはウンケーの前に玄関先に水を張った桶などに浸しておきます。
ご先祖が家へ上がるときにこれで足を洗われるのだそう。
この世とあの世、時空を超えたストーリーにワクワクして来ます。
ウンケージューシーに入れる生姜の葉っぱ一つにしても、沖縄の歴史や文化そのものなんだなぁと一人しみじみ思う今日この頃です。
おばあちゃんの口癖だった言葉「まくとぅーそーけー なんくるないさ」(人として誠を尽くしていなさい。大丈夫、なんとかなるさ)を思い出して、母や娘と思い出話を語り合いながら、よんなーよんなー(慌てずにゆっくりの意)準備するとしましょう。