野菜ソムリエプロ當間好乃の「冬の島野菜ンスナバー(フダンソウ)」

沖縄の島言葉には何故か『ン』から始まる言葉が多いですよね。
例えば食べ物でいうと『ンジャナ(苦菜)』『ンブシー(味噌煮)』『ンム(い  も)』『ンチュミ(お米)』『ンス(味噌)』などなど。

その『ン』から始まる『ンスナバー』はフダンソウのことで、カラフルなスイスチャードや甜菜(ビート)と同種のアカザ科になります。
地中海沿岸からカスピ海周辺やペルシアを原産とし、日本には『本朝食鑑』(1697年)の記述により17世紀、江戸時代に中国を経由して伝えられたと考えられています。

日本本土の方では真冬の1月、2月を除き通年栽培、収穫されているようですが、沖縄では冬の野菜として戦前より栽培されています。

またウサチやンブシーといった郷土料理として親しまれてきた島野菜(伝統的農産物)の一つでもあり、
旧暦1月7日の七日節句(ナンカヌシィーク)には七草粥の材料として、たか菜(シマナー)、大根の葉(デークニバー)、よもぎ(フーチバー)、ねぎ(ビラ)などと一緒に使われていたそうです。

ンスナバーにはβ-カロテンやビタミンEが豊富で、またカルシウムやマグネシウム、鉄といったミネラルも多く含みます。
旬のこの時期には、健康維持のため老若男女問わず、是非、食べて頂きたいお野菜です。

調理法としては、硝酸を含むため予め茹でて使うのが良いでしょう。
茹でる際には葉と葉茎の部分を切り分けて(写真)、葉茎の部分を先に3分ほど茹でその後に葉の部分を加えて更に2〜3分茹で、冷水にとり固く水気を絞って使います。(茹で時間はお好みで調整してください)

写真は茹でてツナと和えたンスナバーのウサチ(和え物)です。
ンスナバーにしかない、しっかりとした食感(グスグス〜する、と沖縄の人は表現する方が多いです。)と旨みを味わいます。
来年のナンカノシィークには私も沖縄の七草粥を楽しみたいと思います。

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