野菜ソムリエ上級プロ堀基子の「首里城に実る九年母!」

ベジコラボOkinawaのメンバーブログへようこそ!
代表の野菜ソムリエ上級プロ堀基子です。
メンバーが3日おきにフレッシュな情報をお届けする、
このメンバーブログを通じて、
一人一人の得意分野や個性を知っていただけたらと存じます。

沖縄というとトロピカルフルーツの印象が強いかと思いますが、
実は柑橘類の宝庫でもあり、導入種の各系統を含めると100種以上が現存するのだとか。
9月21日公開のメンバーブログで
大城しま子さんが青切りみかんを取り上げていましたが、
秋から冬にかけての沖縄では、カーブチー、タルガヨー、クガニーなど、
様々な柑橘類が収穫期を迎えます。

そんな中、先日、首里城を訪れた際、1本の木が目に飛び込んできました。
それは、現在では非常に希少といわれる九年母でした。

沖縄でクネブ、クニブ、クネンボとも呼ばれる九年母は、
室町時代までに沖縄へ伝わり、九州から本土へと伝わっていった、
非常に古い歴史を持つ柑橘の仲間です。

かつては盛んに栽培されていたようですが、
ミバエという害虫による移出禁止以降、急速に栽培が減り、
温州ミカンやタンカンへの植え替えもあって、
今ではほんのわずかしか残っていないと聞きます。

広大な首里城の中でも、国王とその家族が住む、
いわば大奥のような「御内原(おうちばら)」と呼ばれたエリアに、
たわわに実をつけた、この九年母の木がありました。
首里城公園の解説版によると、
ここでいう「九年母」とは柑橘系果樹の総称で、
伝承に基づき、植栽を再現しているとのこと。

首里王府が編纂した歌謡集「おもろさうし」にも
九年母の名が登場するのだそうです。
九年母は「黄金木(こがねげ)」とも呼ばれ、
太陽の霊力を受けて黄色く熟す、
長寿延命の象徴と信じられていたのだといいます。

太陽の光をたっぷり浴びて育った
ジューシーな柑橘類で元気とビタミンを補給するのは、
現代の私たちも同じですね。

大火災を乗り越えて復興を目指す首里城の片隅で、
すくすくと育ち、豊かに実る九年母の姿に、
励まされ、勇気をいただきました。

*九年母の木の写真の左に写っている琉装の男性は、
 タイムスリップした訳ではなく、首里城公園のスタッフです!

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